クラッシュ

『クラッシュ』
Crash


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製作総指揮 マリナ・グラシック / ヤン・ケーベリン / トム・ヌーナン / アンドリュー・レイマー
製作 ドン・チードル / ポール・ハギス / マーク・R・ハリス / ボビー・モレスコ / キャシー・シュルマン / ボブ・ヤーリ
監督 ポール・ハギス
脚本 ポール・ハギス / ボビー・モレスコ
原案 ポール・ハギス
撮影 ジェームズ・ミューロー
美術 ローレンス・ベネット
音楽 マーク・アイシャム
衣装 リンダ・M・バス
出演 サンドラ・ブロック / ドン・チードル / マット・ディロン / ジェニファー・エスポジト / ウィリアム・フィクナー / ブレンダン・フレイザー / テレンス・ハワード / クリス・リュダクリス・ブリッジス / サンディ・ニュートン / ライアン・フィリップ / ラレンツ・テイト / マイケル・ペーニャ / ショーン・トーブ / ノーナ・M・ゲイ / ロレッタ・ディヴァイン





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実はアカデミー賞の発表前に観ました。そして「オスカーは難しいかも?」と言ってたんです。
本年度のオスカー候補作は、本作と『ミュンヘン』(←に関するレビューは こちらを)しか観てはいないのですが、本作が「きっと多数票を獲るのは難しいだろう」と。

ボクは日本生まれの日本人で、本作が織り込まれている本当の地色、背景を知らないわけなんですが、そのボクでも“人種差別”いや、単純に“差別”ではないな、アメリカが持つ複数民族間の感覚、感覚以前の温度差、しかも肌(色ではないよ)で感じる皮膚温度の軋轢を扱う、この作品に対する賛否はハッキリ出るであろう、票が割れてしまうだろう。と考えていたんです。

ただ、オスカーのカテゴリーに「最優秀キャスティング賞」なるモノがあるとするなら、間違いなくこの作品だろう、とは感じていました。

それほど、この映画の中に登場する人物は、全てが素晴らしくスクリーンの中で息づいている。
役の大きさ、ではなく、重さ、でもなく、
全てが組み込まれた精密な機械を、各部のクローズアップから映し出される。
観ているボクたちは、それがそれぞれ「どう作動している」のかを知る事は出来ても、最後にボクらに「何を作用してくる」のかは知らないまま。

後半、どんどん繋がって行く“動作”は、いくつかに盛り付けられた食材のように、しかも全てが整えられた味付けで、ボクたちを感動させてくれます。

映画は表題通り「衝突事故」で始まり「衝突事故」で終わります。
少し強引な演出、狂言廻しの部分も確かにありますが、ボクが大感動(これも賛否分かれた作品ですが)した『ミリオンダラー・ベイビー』(←のレビューはこちらに軽く)脚本家の初めての監督作(このハギス氏は『ミリオンダラー~』が劇場映画の脚本家としてデビュー作でもあった)と知り納得、というか特出した才能に唸らざるを得ない。

ハギス氏と並ぶ製作者(ここ、名前から受ける印象だけで判断しているので、間違っているなら、どなたか是非ご指摘下さいっ)も、自分たちが持つ色んな人種背景を作品の厚みにうまく加えていってる気がします。

上出のポスターピクチャーも、単に眺めれば「感動的な救出シーン」
ところが、、、これは観た人間だけが味わう事が出来る、、、心を振り回された後で揺さぶられる如くなんで、ぜひ観て下さい!

あ、個人的な感想をヒトコト。
『M:I-2』で「キレイやなぁ、この人、元モデルさんかいな? 芝居も旨いなぁ」と、その後ちょっとボク的にはスクリーンでご無沙汰やったサンディー・ニュートン(ポスターピクチャーの女性です)、逢えて嬉しかった。また難しい役をサラリとこなし、器のデカさに改めて感心。


(2005/アメリカ・ドイツ作品)


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